柳 真佐域ブログ

好きなものを好きなだけ語るのだ

輝ける闇

手強かったぁぁぁ!! 読み終えるのに2~3ヵ月かかってしまった。 朝の30分にも満たない読書時間ではしかたのないことだが、あまりに重く、濃ゆく、臭い、静かな熱を持った、人生を賭けた美しい戦争だった。 戦争小説というと、悲惨でありやってはいけない禁…

ゲド戦記を観て宮崎吾朗監督へ送った手紙

宮崎吾郎様 拝啓 白色の強い今年の桜もすっかり葉桜に変わり、着々と命萌ゆる季節になりつつあります。次回作に向け、制作奮闘中と思いますが、いかがお過ごしでしょうか。 僭越ながら、吾郎さん(と呼ばせて下さい)の初監督作品『ゲド戦記』を拝見させて頂…

親についての話

私の両親について話したいと思う。 私の父は(診断はしていないが絶対に)アスペルガーだ。 母はそのことを今でも理解せずに、父は普通の人とはちょっと違う、なんで常識的なことが普通に出来ないのだと未だに疑問を持っている。 父の話をすると憂鬱になるの…

自分のために生きるか他人と共に生きるか

私が小学校から中学校の位から、ゆとり教育は始まった。 相対評価で不公平だったそれまでの成績の付け方も絶対評価に変わり、点数が高ければ良い評価を貰えるようになった。 その時は意識していなかったが、個人を大切にする教育方針というものも取られ始め…

勉強の価値

私は今、勉強について勉強している。これまで勉強という物の本質を疑ったことは一度もなかった。 子供の頃の勉強は、やらなければならないもので、つまらないもの、苦しいものというイメージがどうやったって拭うことが出来なかった。 自分の理解度の低さを…

他人を見下す若者たち 感想

私という人間は、あまり出来の良い方の人間ではない。 生活水準も今のところは食うに困らない程度だが、これから先はもっと厳しくなっていくと思う。 そんな中で、自分の何が高められるかといったら、実質的なものよりも精神的なものに期待するしかない。 頭…

バカの壁 感想

目から鱗が落ちまくり、知らないこともたくさん知れて、メモを取る手が最後まで止まらなかった。 東大の解剖学医の教授という日本の頂点の頭脳を持つ人の著書だったが、思いのほか難しい言葉は少なく、幾らでも頭の良い文は書けるはずなのに、 大衆に読ませ…

フードバングについて

今日、一つのイベントに参加した。 NPO法人のユースサポーターズネットワーク主催の、地域づくりチャレンジ2daysというイベントだ。 先々週にオリエンテーションをして、地域づくりの活動を行っている4つの団体の紹介があり、そのうちの一つの「フードバンク…

ソフィーの世界(上)

ノルウェーに住むもうすぐ15歳の誕生日を迎える少女の元にある日突然送り主の分からぬ手紙が来た。 手紙には、『 あなたはだれ?』とだけ書かれていて、少女は、「私はソフィー・ アムンセンよ」と当然のように答えた。 自分が何者なのか、 どんな自分が私と…

ヴィルヘルム・マイスターの修業時代(上)

ゲーテによる1796年に書かれたドイツの教養小説。 幼い頃に観た人形劇に感銘を受けて、演劇に夢見るようになる商人の子、ヴィルヘルム・ マイスターの大人になり切れないモラトリアムの享受を描いた青年記。 300年前の小説だということもあり、 エンタメ要素…

ゲド戦記2 こわれた腕輪

げど ゲド戦記は、冷たい冬の水か風のような寒々しい気持ちが常に背筋に走って、暗い闇をただ文字だけを頼りに進んでいるような感覚がある。 本来魔法のあるファンタジーの世界というものはそういうものなのかもしれない。煌びやかさなどなく土と風と水と闇…

秋澤いちご園

姉の嫁ぎ先(香川県)にお歳暮を贈るのに、せっかく栃木県に住んでいるんだから、イチゴを贈ろうとして探し当てたいちご園。 羽の生えたクマがイチゴのパンツをはいている可愛らしいパッケージに一目ぼれしてさっそく車を出してイチゴ園へ。 可愛いパッケー…

サクラダリセット4

あれ~?おっかしいな、面白くないぞ。 何でいきなり短編集が始ま ったんだ? あとやり残してる管理局をぶっ壊す話と、相麻菫が生き 返ったあとの話をやらなくちゃ。 てか本筋のそこにしか興味ないか ら、余計な脱線は無駄だからやめてほしい。 面白いならま…

なんとなく生きるのを止める

なんとなく生きるのを止めたいと思う。僕は今までなんとなく生きてきた。 なんとなく朝、買ってきてたあるパンを焼いて食べて朝ご飯を取る。 そのパンは誰が買ってきたものなのか。母が仕事前にスーパーに行って買ってくることもある。父が朝早く起きてコン…

パソコン太郎VSホリエモン対談『これからのオンラインでの働き方』(木原さんに教える用)

まずはじめに、ホリエモンがやっている『HIU(Horie,Innovation,University←かな?)』のオンラインサロンへの入会の案内から始まって、 講師の人が如何にホリエモン大学に入って人生が変わったとスラスラと話していて、信者ビジネスっぽいなぁと思ったのが…

カエアンの聖衣 バリントン・J・ベイリー

聖衣がスーツだという意外性、(表紙には描いてあるんだが)スーツに魅せられた男の話だし、全宇宙の知的生命体に影響を及ぼすこの服は人間の上位の存在として君臨するっていう設定がツボだな。 あんまりキルラキル感は感じなかったけど、鮮血とか生命線繊維っ…

月は無慈悲な夜の女王 ロバート・A・ハインライン

読み終えたけど、感想足る感想がでてこないなぁ。 ストーリー把握のために要約やってみたけど、本当にマニー達がやってきたことだけで、感情が動かされたシーンが一個もなかった。 SFは勉強のためと思って読んでいるのでそんなものかなぁと思いつつ、大衆向…

生きる意味~グローバリズムの「遠近感」~ 上田紀行

ん~言っても仕方のないことだと思うし、だからってどうしたらいいかは教えてくれないのね。 現代の学者の書く本程度の媒体で、導いてくれるとも思ってはいないが、結局のところ、それじゃぁ皆でこの問題について考えてみよう。というだけで、結果何が残るの…

ヴェニスの商人の資本論 岩井克人~ホンモノのおカネの作り方~

ニセガネ作りの極意。それはホンモノのおカネにとって代わってしまうことだ。 と銘打って解説してくれた本単元だったが、結局のところ紙幣になった現金にとって代わるものが出てこない(ポイントやクレジットはあるが)限り、お金という概念を越えた新たなる…

幸せになる勇気

嫌われる勇気の続編にて完結編でもある『幸せになる勇気』。 今回は前回の轍を踏まないように、気になる箇所をメモしながら読んだわけだが、一日で読んだわけでもなかったし、集中も欠いていたから前回のような激しい感動はやってこなかった。 だから、終盤…

愚者のエンドロール 米澤穂信

むわぁーーーーーーー!!!ムズムズするわぁぁぁ!!! 結末を知ってから読むとこんなに計画的に物事が進んでいたのかぁ。 アバンタイトルのほんの数行で誰が誰でパワーバランスがどうなってるのかを改めて知るとこんなにもムズ痒くなるのか! この黒幕を知…

嫌われる勇気

この本を読み終えた時、普段はどんな本を読んだとしても、物にはよるが普通何かしらつらつらと言葉が出てくるものだが、 しかし、感想というものが一文字も湧かない。そんな本だった。何故感想が湧かなかったのか。 それは単に自己啓発書として読み終えて元…

子規句集(4) 正岡子規

岩々のわれめわれめややまつつじ どうしてこんなに簡単に写生句が作れるんだろう。 確かにそりゃそうだろうけど、それだけじゃ何か足りない気がしてしまって、あーだこーだ工夫をしてしまうのが人の常なのではないだろうか。 おー岩の割れ目に山つつじが生え…

羊と鋼の森 宮下奈都

紙みたいな主人公だと思った。自己主張がなく、個性がなく、薄っぺらい真っ白な紙。でも違った。 読んでいく度に、この紙には何か模様みたいのがあって、静かな森の匂いがして、ひょっとしたらちょっとした便箋のような相手に何か言葉を伝えられるもので、と…

子規句集(3) 正岡子規

朝顔にわれ恙なきあした哉 恙(つつが)なきとは、無事に、問題なくという意味だ。 普通の人が恙ない明日としたら、特に問題も起きない朗らかな落ち着いた一日が始まったとするだろうが、子規が書くと、今日は無事朝顔と共に起きることが出来て良かったとい…

山口誓子

つきぬけて天上の紺曼殊沙華 この句で知ったこと。まず天上の紺と来たら夜の闇をイメージしたが、この句で使われている紺色は昼の青空の紺色だということ。それと曼殊沙華が彼岸花だということ。 この句は紺色の(青)空の下に、曼殊沙華が突き抜けるように…

加藤楸邨

鰯雲人に告ぐべきことならず 一見して、鰯雲があんまり綺麗だったから人に伝えたいけど伝えるほどのものではないかという句かと思った(笑) 正しくは人に告げることではないこと、悲しみや切なさや悔しさを胸にグッとしまって顔を上げて鰯雲を見上げている…

幼年期の終わり(感想) アーサー・C・クラーク 

はぁーーーーーーーー!!!読み終わったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!実に読みづらかった! 途中、要約をすることを断念するほど文章が分かりづらく、自分の中に腑に落ちる瞬間が一切なかった。 本格SF作品として読んだのは海底二万里と星新一くらいしかなかった…

調律師 熊谷達也

読み終えた~。意外に速く読むことが出来たな。 ピアノ調律の資料のために買った本だが、最初読んだときは、ピアノが生臭く感じる、 なんてことが書いてあって予備知識もなしに読んだものだから、ミステリーの類いのものかと思って、 顔をしかめて本を閉じて…

子規句集(2) 正岡子規

一日の旅おもしろや萩の原 (ついたち)ではなく、(いちにち)なのかな?そうじゃないと季重なりになってしまう。 旅が面白いなんて当たり前のことも気にせず俳句にしてしまう子規。 高浜虚子はこの句を技巧的と言ったそうだが、どのへんに技巧を凝らしてい…