柳 真佐域ブログ

好きなものを好きなだけ語るのだ

坂の上の雲(一)

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三主人公、秋山好古(兄)・秋山真之(弟)・正岡子規(真之の親友)を中心とした、明治~大正の時代を駆け抜けた歴史小説

 

好古はぼうっとしていそうでも、芯が強く、真之は跳ねっ返りの悪餓鬼、子規は天賦の才を持っているような印象。

 

書き方もそうだし、時代背景も読み解かなければいけないから、凄く読みづらいんだけど、不思議な引力がある。

 

著名な作品だし、名作とも言われているからなんだろうが、そうとは言い切れないほどの、教養を秘めていそうな気がしてならない。

 

顔をしかめてしまうほど臭かったり不味かったりするというより、自分の不勉強さと向き合わなければならないから、読みたくないけど読まなければならないといって感じだろうか。

 

人物の書き方が岡田斗司夫っぽい。

 

流れを説明してから、その人の凄い部分を例え話で放り込んでくる。グッと引き込まれる。好感。

 

途方もなく巨大な岩を削っている感じ。凄く激しい。

 

改めて言うが、好古はぼんやりしていそうで芯がしっかりしている。そして酷く冷静。

 

小説なんだけど、空想でない。

 

これが歴史小説というものだからか、それとも司馬遼太郎だからなのか。

 

台詞が途切れて、その後を地の文で補足してるから、台詞が最小限で済んでる。

 

まるで見てきたかのように、歴史を断言している。力強い。

 

これが文章に堅さをだすということなのだろうか。

 

北方謙三のように勢いがあるわけではなく、古木のように芯が強く生きている。

 

整った好古かっけぇ!

 

真之の兄怖さも、子規の挫折も共感が出来る。

 

好古はすぐに成るべきものを見つけたが、真之、子規は現代っ子(昭和人)のように悩む。

 

もっと早く生まれてくるべきだったとは。どの時代でも言われる甘ったれな言葉だ。(身に染む)

 

本書は三人のサクセスストーリーである。

 

話の進行の中にも、興味を失わせないための工夫があり、(慣れてきたら)読みやすく感じる。

 

三人の主人公の中で、真之と子規には共感出来るが、一番読みたいのは好古のストーリーだ。

 

飽きる箇所が一か所もなく、最後まで……と言いたかったが、最後の最後が退屈だった。

 

次巻を読む気が削がれてしまったので、ドラマの方を観て面白そうだったら読もうかなと思う。

 

現時点では、宮崎駿が尊敬するほどではない気がする。