悲嘆の門(中)
孝太郎の抱いた怒りは、紛れもなく正義の怒りだ。
自分の踏み込んだ先にあった〈何か〉以上のものとの出会いでもあっただろうが、これは間違いなく正義の怒りだ。
この感情が多分、孝太郎を突き動かす原動力になるだろう。
文章が完全にノッている。こうでなきゃ。これが見たかったんだよぉ・
決意に震える。やっぱりヒーローは孤独でなくっちゃ。
真菜ちゃんの描写いいなぁ。純粋なものは強い。
そして、ユーリの登場である。
成長した彼女の姿に、鳥肌が立ちっぱなしだ。
家で読んでいたら盛大に奇声を上げていただろう。
ユーリは言葉の本当の意味を知っている。
細かいニュアンスの違いをぴったりのとこまで言い当てていく。これが出来る人は少ない。
そもそもそんなことに労力を割かない。
なんて聡明な女性に成長してしまったんだ。この子が真に強いのが分かる。
狼となった彼女は有り体に言って格好良い。背負っている物にとってそれは礼を欠く言葉だ。
これは宮部みゆきの化身である可能性があるぞ。
……待て、待て待て!!!ちょっと思考が停止する。
まさか、本当にこんなこと書いて良いのか。
一番やってはいけないことを……あまりにも残酷すぎるだろ。
ちょっと許容しきれない。嘘であってほしいけど、読んでしまったという自分がいる。
心が抉られる。楽しんで読んでいたことに罪悪感すら湧いてくる。放心状態になるわ。
午後の仕事中終始ヤバイヤバイ言ってる。ただただ圧倒されちゃって語彙力を失っている。
悪の教典を読んだ時もヤバかったが、宮部みゆきは正常な人間としてこの域に達していることがヤバイ。
そりゃぁ最後の作品って銘打つだけある。恐いわぁ。
見せつけるわけでもなく、ただ静かに書いている感じが恐い。
ユーリの言う人に影響を及ぼしてしまう(人生を狂わせるほどの)物語(本)ってこの作品のことじゃないのか?
宮部みゆきに憧れて始めた僕の執筆だが、それほどの作品が書けたならとどうしても思ってしまうが、書いてしまってはいけない気もする。
有害図書というのが一番しっくりする気もするが、ニュアンスが違う気もするし、物語は図書以外にも広く世界に浸透している。
人間は物語がなければ生きていけないほどに浸透している。
女性作家だからだろうか、東野圭吾のようなドヤァ感が無いのは、宮部みゆきの文章がリアルを書いているからだろう。
悲惨さが克明なんだ。そう、この手抜かりのない克明さが好きなんだ。生きている人間の物語。
読んでいるなら、良い師弟関係のような気がする(勝手な妄想)。
やっと読みたかった宮部みゆきという、余りある衝撃。
一刻も早くこの域に達したい。宮部みゆきに会うために。
あなたはいつも僕を救ってくれる。
くそぉ辛ぇよ。辛すぎる。
と思ったけど、判断に困るのも事実。どう捉えるべきものか。
読み進めていくとそこ、そうなるかぁという。手放しで誉められるとは言えぬところに来てしまった、入ってしまった感もある。難しい。
う~ん、予想は遥かに超えたんだが、期待以上の展開じゃなかった感じか?難しい。
タイトル回収とそして都築さんがカッコいい。
もう少し若ければ、ハードボイルドなんじゃないか?
まだまだ判定はつかない。下巻へ続く。