柳 真佐域ブログ

好きなものを好きなだけ語るのだ

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

子規句集(4) 正岡子規

岩々のわれめわれめややまつつじ どうしてこんなに簡単に写生句が作れるんだろう。 確かにそりゃそうだろうけど、それだけじゃ何か足りない気がしてしまって、あーだこーだ工夫をしてしまうのが人の常なのではないだろうか。 おー岩の割れ目に山つつじが生え…

羊と鋼の森 宮下奈都

紙みたいな主人公だと思った。自己主張がなく、個性がなく、薄っぺらい真っ白な紙。でも違った。 読んでいく度に、この紙には何か模様みたいのがあって、静かな森の匂いがして、ひょっとしたらちょっとした便箋のような相手に何か言葉を伝えられるもので、と…

子規句集(3) 正岡子規

朝顔にわれ恙なきあした哉 恙(つつが)なきとは、無事に、問題なくという意味だ。 普通の人が恙ない明日としたら、特に問題も起きない朗らかな落ち着いた一日が始まったとするだろうが、子規が書くと、今日は無事朝顔と共に起きることが出来て良かったとい…

山口誓子

つきぬけて天上の紺曼殊沙華 この句で知ったこと。まず天上の紺と来たら夜の闇をイメージしたが、この句で使われている紺色は昼の青空の紺色だということ。それと曼殊沙華が彼岸花だということ。 この句は紺色の(青)空の下に、曼殊沙華が突き抜けるように…

加藤楸邨

鰯雲人に告ぐべきことならず 一見して、鰯雲があんまり綺麗だったから人に伝えたいけど伝えるほどのものではないかという句かと思った(笑) 正しくは人に告げることではないこと、悲しみや切なさや悔しさを胸にグッとしまって顔を上げて鰯雲を見上げている…

幼年期の終わり(感想) アーサー・C・クラーク 

はぁーーーーーーーー!!!読み終わったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!実に読みづらかった! 途中、要約をすることを断念するほど文章が分かりづらく、自分の中に腑に落ちる瞬間が一切なかった。 本格SF作品として読んだのは海底二万里と星新一くらいしかなかった…

調律師 熊谷達也

読み終えた~。意外に速く読むことが出来たな。 ピアノ調律の資料のために買った本だが、最初読んだときは、ピアノが生臭く感じる、 なんてことが書いてあって予備知識もなしに読んだものだから、ミステリーの類いのものかと思って、 顔をしかめて本を閉じて…

子規句集(2) 正岡子規

一日の旅おもしろや萩の原 (ついたち)ではなく、(いちにち)なのかな?そうじゃないと季重なりになってしまう。 旅が面白いなんて当たり前のことも気にせず俳句にしてしまう子規。 高浜虚子はこの句を技巧的と言ったそうだが、どのへんに技巧を凝らしてい…

子規句集 正岡子規

正岡子規 茶の花や利休の像を床の上 高浜虚子選の子規句集の最初に書いてある句。 作られたのは明治二十年。 この年に書いてある句は一つだけなので上手い出来のものは少なかったのだろうか。 季語の茶の花と侘び寂び、茶道の茶聖でも有名な千利休の像が出て…

中村草田男

冬の水一枝の影も欺かず 冬の澄み切った鏡のような水(溜まり)に木の枝が少しも偽ることもせずありのまま写っているという句か。 冬と言うとつい雪景色なんかが浮かんでしまうが、水に着眼点を落としたのは凄く良いな。冬は空気が澄んでいていて、とても好…