柳 真佐域ブログ

好きなものを好きなだけ語るのだ

アキハバラ@ディープ

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友人とのゲーム製作の為に、再読したアキハバラ@ディープ。

 

対人に難のある旧式のお宅の起業譚。IWGPを秋葉原らしい人物で書き直した印象。

 

分かる人が分かればいいよって感じの文章が、不親切で、昔より苦手だが、端々に面白みがあるから、まだ読める。

 

キャラクターの個性の出し方は、アニメやドラマに近いけど、しっかりと小説の要素もあって、好感が持てる。

 

ただ、描写の強弱のバランスが弱く、ストレスが多い。隙が多い。女の表現(書き方)がキモイな。

 

小説になろうとしている感もある。聖なるものを作る。良い言い回しだな。

 

ハリネズミねっとわーくに入ってから、面白くなってきた。

 

石田衣良のマイノリティ感の良さを感じられる、初期の作品が好きだ。そうなると最新の本も読んでみたくなる。

 

アキラのキャッツファイトはあまり手に汗握ることもなく、イズムは馴染みつつあるが、ダルマの必要性は?半沢教授との出会いは、唐突過ぎないか?

 

読んでいてだんだんと展開を思い出してきた。

 

それ以上のものが書いてあるかは不安だ。石田衣良の発想は実社会で活かされてもみょい物が多いが、実際のところどれくらい浸透しているのだろうか。

 

作家としてその社会との向き合い方は、見習いたいものがある。

 

ページは僕に似ているし、ボックスは友人の一人に似ている。

 

この作品で最もの魅力は、クルークの発明(発案)だろう。むしろそれ以外は、単なる舞台装置に過ぎない。

 

キャラクター一人一人の魅力は、クルークを前に霞むし、替えが効く。

 

あとは、舞台背景の練り込みだが、それは作家様なら誰でも出来る領域だし、特出するところはない。職業でやっている作家(屋)だ。

 

追いつけないと思うのはそのくらいだ。

 

中込やデジキャピの設定はすごいと言わざるを得ない。モデルがあるのかな?

 

こういう凄みが出せるのが作家だろうなぁ。昔は中込のことを異常な奴だなぁと思ったけど、今見るとそうでもないなと思ってしまう。

 

もっと異常な奴は、五万といるしな。

 

だから、それに惹かれちゃうボックスを見ると、なんだ、その程度なのかと思わずには入れられない。

 

異常を書くなら、作者が異常でなければならない。

 

常識なんか通じないサイコ野郎だから面白くなるし、その点だと、貴志祐介さんとかは、文章からヤバさが伝わってくる。

 

この人の脳味噌はどうなってるんだろう?と思わせなければだめだ。

 

ストーリーも予定調和感が否めない。これくらいでいい、というのは、作者の甘えだ。

 

物語の中盤までを、通して速度制限がされているかのような、急転直下で物語が進んだり、まったりしたりがない。

 

中込はヤバイ奴なんだぜ~という感じがしていけない。

 

なんだろう。表現がポストイットっぽい。主観的な視点が薄いか軽いんだろう。

 

迫りくる迫力を感じないのは、再読だからなのだろうか。

 

伏線を張ったり先々のことを話してしまうのは、一度目に読んだ時は、おぉ!アキハバラ@ディープ、立ち上がってくれるのか…!となるけど、再読すると酷く陳腐に感じてしまう。

 

そういうところは、一度、一回本を買ってくれればそれで良いと思っているようで、鼻につく。

 

だから、僕はこの本を一度売っているし、この本も同様に売りに出すだろう。

 

まだ読んでいる途中だが、なんで面白くないか考察してみた。

 

多分これはプロットを立てて、初めから終わりまで展開を先に書き上げてから、作品を作っているからだ。

 

だから、予定調和になり、ページを捲るハラハラドキドキ感が無い。中高生は騙せても、おっさんには温い。

 

つまんねぇなと思っていたら、ページたちの弱点を逆手に取った反撃は痺れる。

 

このまま深度をもっと増してくれと祈る。

 

ん~、良いはずなんだが、良さを感じない。足りない。

 

突入作戦も迫真なんだけど、何かが足りない。もともとのスペックが低いからか、盛り上がりに欠けてしまう。

 

そう、生っぽさが足りないんだ。感触、臭い、空気。そういう細かなところが足りない。

 

んーーーーー!やっと読み終わったーーーーー!すっごい時間かかっちゃったけど、再読にしては面白く読めたと思う!

 

二回買うほどではないにせよ、金を払って読む価値はあった。

 

友人とのゲーム製作は凍結されてしまったので、無駄になってしまったが、いろいろと勉強をさせてもらった。

 

これ以上のものを書くには、まだまだ自分の実力足りないことが分かったし、だったらどうするべきかというのもわかってきた気がする。

 

自分の良さを信じれば、これよりもっと良い文が書けることは、確信している。

 

一度書いたが、石田衣良の今の文も読んでみたい。アキハバラ@ディープ、お疲れ様!