柳 真佐域ブログ

好きなものを好きなだけ語るのだ

幼年期の終わり(要約) アーサー・C・クラーク 

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~冷戦時代の宇宙開発をしているアメリカのタラチュア島で、ラインホールドという宇宙開発技師が日没に黄昏ていた。彼にはドイツの推進器開発で同僚だったコンラッドという男がいた。コンラッドは自分と並ぶほどの天才で、それがソ連で宇宙開発をしていることをサンドマイヤー大佐から聞いた。アメリカはコンラッド・シュナイダーがソ連の宇宙開発を指揮していることを最近までキャッチできずにいて、ソ連がどれほど自分らより先んじて宇宙開発をしているか、不気味なほどわからない。~

 

~ロシアのバイカル湖畔で、コンラッドとグリゴリエヴィッチ(委員)とでロケットの実験をしていて、それが成功に終わって、アメリカより先んじて宇宙開発が進んでいることが確認出来てホッとしているとき、コンラッドもまたアメリカの宇宙開発を指揮しているのが旧友のラインホールドとしり、自分たちもうかうかしていられないというところに、何やら騒ぎが起こった。~

 

国連事務総長のストルムグレンと事務補佐官のピーターは騒ぎ(デモ)が起き、警察の先導で遅刻してくるウエインライト(ストルムグレンは昔から知っている)をキンキンに冷えた国連事務総長室で待っていた。デモはどんどん近づいてくる。自由連盟との会見をすることからデモは起こっている。それは宇宙人カレルレンが唆したから実現するものであったとストルムグレンは考える~

 

国連事務総長のストルムグレンと自由連盟の代表ウエインライトが会談し、お互いの意志を確認し合った。ウエインライトはあくまで人類は人類だけで世界平和を実現すべきと主張している。それは人類は自らが主導で地球を統治していたからこそ、人間には自由があり、オーバーロード(誰か)に属することは人類が奴隷になるということだ。そうなってからでは取り返しがつかなくなるとウエインライトは言っている。(だが、ユダヤ教や司祭はオーバーロードのやり方で地球を統治することに賛成している)~

 

オーバーロードはすでに地球を超常の力で平和にして見せ、人類の大半がそのやり方に賛美し、世界全体はオーバーロードと共に生きる道を模索している。だが、自由連盟代表ウエインライトはそれにしては、彼らは秘密なことが多すぎる、超常の力にしてもそうだし、なにせ姿を一切見せないと来ている。何かそこに疚しさを感じるから我々は認めることが出来ないでいると主張する。ストルムグレンは三日後、カレルレン総督に会う予定がある。~

 

オーバーロードが地球の主要都市の上空に現れた際、何の前触れもなくまた六日間の間、地球側に何もアクションをしようとしなかった。オーバーロードの宇宙船は世界の主要都市の上空に浮かんでいた。六日後、地球のパニックが治まったのを見計らうと、地球総督カレルレンは自己紹介した。それは今まで人類がなしえない程、完璧で美しい演説だった。カレルレンの圧倒的な知性の前に、世界の諸国はもう人類は争う必要はない、孤独で戦う日々は終わったと悟った。決して洗脳されたわけではない、人類の意志は自由にある。~

 

~カレルレンの完璧な演説の前に、世界はもう争わなくてもよいという風潮が流れたが、それとは逆行した大国が、宇宙船の撃破とその下にある隣国の主要都市を破壊するために、ミサイルを発射した。しかしミサイルは宇宙船の超技術か、無効化される。これにより人類は全く敵意のない者に殺意を向けて攻撃したという事実だけが残った。一方的な罪悪感だけ残し、ミサイルを発射した政府は瓦解した。その後、オーバーロード南アフリカの人種差別を見事に解決し、人々はオーバーロードたちを実在する神の化身と期待するが、オーバーロードたちは5年間沈黙を保ち、姿を現してくることは無かった。~

 

~ウエインライトととの会談の三日後、ストルムグレンは約束通り、オーバーロード接触した。オーバーロードの母船にいく宇宙船は地球人が作れる遥か先の技術だった。ストルムグレンは歩みを進めて、母船の中に入ると応接室らしい何の無駄のない無機質な部屋に通された。ストルムグレンは相変わらず音声だけでカレルレンと対峙し、世界はあなたが姿を見せないことから一つになれないでいると訴えた。カレルレンはそんなものは些末な問題だと取り合ってくれなかったが、その一点のみで人類が一つになれないでいるとストルムグレンは強く主張を繰り返した。~

 

~カレルレンは姿を見せない代わりにウエインライトたち自由連盟が何故、オーバーロードを信じようとしないのかを解説した。ウエインライトたちはオーバーロードが姿を見せないことで、一抹の怪しさがあるから信じられないのではなく、オーバーロードたちが、人類の遥か昔、ウエインライトたちが信ずる神々の詳細を知っているのではないかと心の中で勘ぐっている。それにより自分たちの信じる神々の真相がわかってしまって、信仰心が失われてしまうことを内心恐れている。~

 

~カレルレンは言う。君たちの宗教家は自分の神を含めても完璧な神が存在するとは思っていない、そういう矛盾を孕みつつ信仰している者が宗教をやる。いずれその真相を明らかにするときは来るだろうが、まだ地球はパニックが治まっていないのでそれをすべきではない。これは私が姿を見せたからと言って治まるものではないし、それは人類の問題だ。あなたたちが私の姿をみたいと残念がっているように、私も姿を晒せないことを残念に思っている。しかし、説明して足りるのであれば、上司に掛け合って声明文を書いてもらうことも誠意努力してみるつもりだ。では本題に入ろうか。~