柳 真佐域ブログ

好きなものを好きなだけ語るのだ

幼年期の終わり(要約) アーサー・C・クラーク 

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オーバーロードとの会談が終わったストルムグレンを迎えた事務補佐官のピーターは早速会談の成果を聞き、ストルムグレンは何とも言えないと答えた。そこでピーターはオーバーロードたちに対して邪推をする。ストルムグレンは苦笑した。ストルムグレンはピーターの推理を否定した。カレルレンにはなにか大きな目的があるという仕草を感じる。彼は、この星での仕事が終わればすぐに自分の元居たところに帰ると言っている。~

 

~ピーターはオーバーロードたちは神にも近い存在だと聞くが、ストルムグレンはそんな彼らでもこれから先の未来に恐れているらしいと言う。ピーターは彼らは地球を侵略するつもりだと妄想を主張する。ストルムグレンはゆっくり首を振った。彼らの背後には高度な文明世界があることは間違いない。それに彼らは我々が生まれるずっと前から地球人を見て来たんだと決めてかかる。彼は英語を私達以上に完璧に使える。彼はフィンランド語だって使うことが出来るのだ~

 

~それに全政治家の経歴を知っている。それはこれまでの政治家がしてきた裏工作だって知っているということだ。だが、彼らオーバーロードが我々人間の進化の先以上の存在とは思っていない。しかし、彼(ら)の地球にしてくれたことは我々人間には到底不可能なことだ。しかしそれでも姿を見せてくれないことにはこの邪推は止まることは無い。いつかその姿を激写するときが来るかもしれない。もしそんなことになっても彼らは何の問題にしないであろうことは分かっていたが~

 

オーバーロードが地球にやって来た最初の年、もちろんパニックは起こったがそれは予想より早く鎮まり、人類はオーバーロードたちを受け入れた。それどころか、オーバーロードたちが来たお陰で地球に初めて平和が訪れたことを感謝するまであった。しかし、人類はすぐにその感謝を忘れてしまった。それどころか姿を一向に見せないでいるオーバーロードたちに憤りを感じ始めた。しかし、ストルムグレンは国際連合の事務総長として自分とカレルレンが会見をするには意味があることだと思っていた。オーバーロードたちが必要でないことをするはずがないという確信があった。彼らとのやり取りは全部、自分とのやり取りだけに留まっている。~

 

ソビエトの(国際連合)代表団はストルムグレンばかり会談するのは憲章違反だとする何度も抗議していたが、カレルレンは気にも留めない。人類がしてきたこれまでの愚かな行為をオーバーロードたちはいともたやすく、またその抵抗も受けることもなく、鎮めてしまった。地球は未だ主義主張がバラバラで決して一つにまとまっているとは言えなかった。それでもオーバーロードたちは自分たちに関与しないのは、そんな些末なことよりも大きな改革を用意しているからだと考えていた。結論は出ないが、人類はオーバーロードたちの示す未来を誰一人知らずにいた。~

 

~ストルムグレンは国連事務総長の役目を終わらせられようとしていた。彼の一身を投げ打っての仕事ぶりだったが、世間は彼をオーバーロードたちと同一視するようになってきたからだ。今日も眠れぬ夜、ストルムグレンは自宅の屋上庭園に出た。あと四ヵ月のちには、誰か他の人間が事務総長の地位に就いている。それはオーバーロードたちの正体を知るための時間があと残りわずかしかないことを意味していた。~

 

~ストルムグレンがカレルレンを疑うのは、つい最近のことであった。自由連盟の言っていることに影響されたところもあるが、人類全体がオーバーロードの正体を知りたいと強く願い始めたからであろう。オーバーロードが人類に安心を与えてくれたのは歴史から見ても事実だ。先住民の文化を新興国が抹殺したように、今人類はオーバーロードたちに挑戦を受けている。そんなところに中央通信から、自由連盟の“人類を統治するのは怪物か?”という見出しのニュースが入った。ニュースに書かれた声明の内容は、“君たちは異様な姿から私たちに会えないでいる、そうであろう?”という今まで何度も行われた問だった。

 

~ストルムグレンは馬鹿馬鹿しいとうんざりした。たとえその問いが正しくても、人間はどんなに醜悪な見た目をしていても、それを美しいと思える心を持っている。そのことをオーバーロードたちが分かってくれれば今のように姿を現さないで指示するようなこともなくなるかもしれない。とは言いつつも、自分も単なる好奇心から彼らの姿を最後にこの眼で見たいと思っている。翌朝補佐官のピーターはストルムグレンが登庁しないことに苛立った。しかし、それもだんだんと心配に変わり、ストルムグレンの行方を捜していたが、いち早く自体に気づいた各通信社が、国連事務総長代理でもあるピーターを祭り上げた~